虫歯の本当の怖さ
どうして虫歯になってしまうのでしょうか?
歯磨きが悪いからと思っている方が少なくありません。
虫歯予防はどうすればよいでしょうか?
歯磨きをもっと念入りにすると思っている方が少なくありません。
日本人のほとんどの方は1日2回以上歯磨きをしているというデータがあります。歯磨きをしているにもかかわらず虫歯になってしまうということは歯磨きだけでは虫歯を予防できないという裏付けにもなります。
またほとんどの方はドラッグストアやスーパーで買える歯磨剤を使っていますが、本当に予防効果がるのなら日本人の虫歯はどんどん減っていくはずですが、現実はそうではありません。つまり歯磨剤で歯磨きをしても虫歯予防を行うことができないのが現状です。
そこで何故虫歯になってしまうか?
甘いものの食べ過ぎ、ブラッシング不良、間食が多いなど様々な原因がありますが、一言でいうと免疫力が低下してしまったということです。1回や2回甘いものを食べても虫歯になるわけではありません。
唾液には緩衝能という作用があり、歯が脱灰(歯質が溶ける)しても30分程度で再石灰化して元に戻しくれます。このサイクルがうまく機能している人は虫歯になりません。
しかし、虫歯菌に感染して(ほとんどの場合は家族間感染で両親から)、間食や砂糖を摂る回数が増えてしまうと虫歯菌が多くなり、唾液緩衝能が働かなくなりついには再石灰化せずに穴が開いてしまう虫歯になってしまいます。
虫歯になってもそれほど気にしない方が多いのに驚きます。野生動物は歯磨きをしないけど自分の歯で一生食べていけますが、人間は一生懸命歯磨きをしても虫歯になってしまいます。
それでは虫歯は歯に穴が開くだけの感染症でしょうか。歯周病もそうですが口の中が虫歯菌や歯周病菌に感染すれば全身に影響することは明らかになっています。
虫歯菌感染で大腸炎リスク4倍 阪大など解明 – 日本経済新聞 (nikkei.com)
つまり虫歯になってしまったということは本来人間が食べてはいけない砂糖やお菓子を食べてしまった結果、口腔の免疫力が著しく低下してしまい、全身の病気の入り口ができてしまったということに気づく必要があります。
虫歯を削って、詰めてもらっても虫歯ができる誤った食習慣を正さない限り、歯磨きを頑張っても問題の先送りをしているにすぎません。
当院ではいち早く予防するために虫歯菌の除菌(次亜塩素酸水を使用)をお奨めしています。そのうえでできる限り間食をしないようにする、あるいは間食にはスーパーのお菓子コーナーで買えるものは避けて、砂糖や乳製品や食品添加物を含まない自然の食べ物(サツマイモやおにぎりなど)を奨めています。
また小学生までは虫歯がなかったのに中学生や高校生になって急に虫歯が多発するお子さんがいます。生活習慣を聞くと、部活で熱中症対策のためにコーチからスポーツドリンクを飲むように指導されているケースが多いです。おそらくスポーツドリンクに大量の砂糖が含まれていることを知らないのではないかと思います。
話はそれますが熱中対策にスポーツドリンクを飲む必要はありません。私は真夏の炎天下でゴルフをやりますが、水と梅干や岩塩に氷を袋に入れて溶けた水を頭からかぶったり、顔や首や頭、腕や脇などを冷やして対策しています。
残念なことに日本人ほど自分の歯を大切にしない国民はいないと思います。海外では小さいうちに歯並びをやかみ合わせを治して口元をきれいにするということはごく当たり前で、虫歯や歯周病フリーというひとが少なくありません。
何を食べて、何を飲むかは自由ですが今の医療では虫歯になってしまった歯を完全に元に戻すことはできません。詰め物や被せものはできますが、人工物に過ぎません。虫歯になる環境が変わらなければ虫歯が再発してしみが強くなったり痛みが強くなれば抜髄(一般的には神経を抜くといわれている)になり、抜髄された歯は弱くもろくなり破折したり、さらに虫歯が進行して残根状態になりついには抜歯となってしまいます。
このような説明を患者さんにしながら、虫歯にしてしまったのは守る方法を知らなかったから仕方がないけど、今回が虫歯の治療が最後になるようにしましょうと言っています。
虫歯は完全に予防できます。早く気づいていただけたら幸いです。