歯を抜かない矯正治療/矯正

抜歯矯正か?非抜歯(歯を抜かない)矯正か?

有村架純さんの姉の有村藍理さんが美容整形手術を行っていたことを公表しました。手術室に入っていくときに右側方の臼歯部にブラケットとワイヤーが見えたので、手術前の矯正治療も行っていたようです。

側貌が改善されてご本人もすごく満足されている様子です。

前歯が前に出ていたり、鼻と顎のラインを結ぶエステティックラインより口唇が突出している場合は抜歯矯正が必要になります。また顎矯正のような手術が必要になる場合もあります。

ただ日常的にはそれほど多くはないと考えています。問題になってくるのは歯を抜いて矯正すべきか、抜かないで矯正すべきか迷ってしまうようなボーダーラインにある場合です。抜いた歯は元に戻すことができませんので抜歯すべきかどうかは慎重な判断が必要です。

当医院では歯を抜を抜かない矯正治療の相談が多くあります。相談の多くは他の矯正歯科医院で歯を抜かないと矯正治療ができないと言われたということです。そのとき提案するのがアメリカのデイモンシステムを使った矯正治療で行われているTheraputic Daiagnosisというものです。これは抜歯矯正か抜かない矯正をすべきか、患者さんが迷って決断できないときに行う診断法です。

つまり最初は歯を抜かないで数ヶ月(6ヶ月~12ヶ月)矯正治療を行います。叢生の程度や不正咬合の程度にもよりますが、6ヵ月~12ヵ月後ぐらいには前歯がほとんどきれいに並びます。ここであらためて側貌や審美性を評価します。人それぞれ骨格系や個性もありますし、審美的な感覚も人それぞれです。

もしこの段階でもう少し前歯の突出感を改善したいという患者さんの希望がある場合に始めて抜歯矯正の選択をします。またこのぐらいの側貌ならOKというのであれば歯を抜かないで治療を進めてフィニッシュします。

Theraputic Daiagnosisの良いところは実際に歯を抜かないで治療した場合の状態を患者さんやご家族が確認できるということです。そしてもし抜歯矯正になった場合でも、患者さんやご家族も納得して治療を受け入れることができるということです。

欠点としては歯を抜いて治療する方向に移行する場合は治療期間がやや伸びることと、治療費用が若干高くなります。

ただし、明らかに最初から抜いて矯正したほうが良いだろうという場合はTheraputic Daiagnosisは適応ではありません。あくまで抜歯か非抜歯かのグレーゾーン、ボーダーライン上にある方が適応となります。

ちなみに当医院ではボーダーラインでTheraputic Daiagnosisで歯を抜かないで矯正治療を行った方で、抜歯治療に移行することを希望された患者さんはまだいません。

最後に有村藍理さんの治療前後の顔剛の変化もきれいになっていますが、それに伴いご本人の心のコンプレックスが完全に払拭されて、表情や性格まで明るく変わったのではないでしょうか。審美歯科や矯正歯科をやっていてつくづく良かったと思う時は、このような患者さんの満面の笑顔を見たときです。審美治療や矯正治療は人の性格をも良好に転じさせ、その後の人生も左右してしまう素晴らしいものだと思っています。

 

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