痛みがあっても神経を抜かないで治療できる可能性
右のレントゲンは初診時で、他院で治療を受けましたが痛くて噛めないという主訴で来院されました。
痛みが出る場合は歯髄を取らなければならないと前医で説明を受けたそうです。
左のレントゲンはブナの杜歯科クリニックで治療した後です。
一見すると同じように見えますが、当医院での治療について説明いたします。
治療の前にすごく大切なことですが、治療水が汚染されていない残留塩素濃度補正装置による除菌治療システムの環境が整った
医療施設での処置を強く推奨します。
まず局所麻酔です。あ、麻酔か。痛いの嫌だなぁと誰もが思います。
しかし、当医院では無痛的麻酔を行っています。この患者さんに麻酔の痛みを聞いたら、
針を刺したのもわからずまったく痛みを感じませんでした。
次に、ラバーダム防湿を行います。
このような深い虫歯で、露髄(歯髄まで虫歯が達していて、虫歯を削っているときに歯髄に達してしまう)が
予想される場合はラバーダム防湿が必ず必要です。
前医で詰めたセメントや覆髄剤をマイクロスコープを使って慎重に削り取っていきます。
術前のレントゲンから露髄が予想されていたので、洗浄、止血を行い、MTAセメントで直接覆髄しました。
その上に別のセメントで修復して経過観察しました。
1週間後に痛みは全くなくなったので、ラバーダム防湿を行いダイレクトボンディング法で修復を終えました。
治療を成功させるためのキーポイントは
1 治療水が汚染されていない残留塩素濃度補正装置による除菌治療システムの環境が整った
医療施設での処置
2 ラバーダム防湿
3 マイクロスコープ
4 MTAセメント
5 治療経験
だと思います。
歯髄を抜くと歯は血流が途絶え枯れ木のように弱く、脆くなります。
日本人は海外の人のようにかみ合わせを小さいうちに矯正する習慣が根付いていないので
不正咬合の方が多く、結果としてくいしばりを起こし歯根破折して抜歯になるケースが多いです。
歯髄を安易に抜かないことが歯を長く持たせる秘訣です。
もちろん、虫歯にならないように食生活の改善が重要なことは言うまでもありません。